お通夜や葬儀に参列して、お焼香の時などで合掌をします。何となく行っていますが、そこには深い意味があります。まず、誰に対して手を合わせているのかですが、一般的には故人に対して行うものと考えられがちです。
しかし、本当は仏様に、故人のことをよろしくお願いしますという気持ちを込めて行います。そもそも、なぜ手のひらを胸の前で合わせるかですが、もともとはインドの敬礼作法であったものが仏教に取り入れられ、作法として定着し、日本に伝わったと考えられています。
インドでは、右手は神聖なもので、左手は不浄のものとされていますので、両手を合わせることは、人間の神聖な面と、不浄な面の両面を一つにすることで、すなわち人間の真実の姿を現していると考えられています。日本においては、右手は仏の世界、左手はあらゆる生物の世界を示しています。このため、右手と左手を合わせることで、仏様とこの世のあらゆる命が一体となり、成仏するという意味を持っています。手を合わせることによって、仏様の境地に人間を含むあらゆる生命が少しでも近づき、心が落ち着き、精神が安定します。さらに、左右対になっているものを一つにする、調和させる、相手を敬うことも意味しています。