近年の葬儀においては、儀式中に流されるBGMが生前に故人選曲したものであるケースが見られます。終始音楽を流し続ける音楽葬と呼ばれる形式もありますが、そこまで行かなくとも出棺の時等に限って流される事もあり、一般的な葬儀にも徐々に浸透していると言えます。
こうした形式を希望する場合に気に留めて置きたいのは、斎場との兼ね合いです。建物の形等に拠っては、防音性能や周囲・隣の式場との兼ね合いで、音楽を流すのに適さないケースがあります。音響設備が整っていない場合もあり、これらの事を踏まえた斎場との事前交渉が必要となります。
そして交渉の必要性に加え、設備の追加が必要な場合には費用負担が発生する事もあり、斎場としても故人の思いだからと言って急な対応は難しいものとなります。ですので、事前に施工業者を絞って費用の積み立てまで行える、互助会を利用する方式を併せて検討した方が良いと言えます。また終始音楽を流し続けて読経にまで替えてしまう音楽葬の場合、従来とは雰囲気が大きく異なるので、年配者を中心に参列者の理解が得難い場合が考えられます。こうした内容を希望する場合には、エンディングノートや遺書として遺志を示して置く、予め生前に周囲の了解を得て置くといった対応も必要になって来ます。