私たちの日常の暮らしの中では、葬儀について深く考えることは殆どないのが実情です。身内や親しい友人が亡くなって初めて、準備を始めるのが通常のケースです。限られた時間で準備をする中では、何のために執り行うのか分からなくなることもあります。
そうした問いかけに予め答えを用意すれば、万が一の際にも慌てなくて済みます。葬儀を執り行う意味として、多くの人々は心理的な理由や家族・親族的な理由が挙げられます。心理的な理由には、近親者を亡くしたことによる、心の整理をつけることがあります。
近親者を亡くすと心に大きな穴が開き、現実問題として捉えきれなくなりがちです。そこで何らかの儀式を行うことで、現実として受け入れられるようにします。但し、近親者の死を受け入れるには時間がかかるので、儀式後にも初七日や四十九日などの法要を行い、徐々に心の整理を付けるようになっています。
また、儀式には家族や親族の絆を深めるという意味もあります。多忙な現代社会では、家族や親族が一堂に会する機会はなかなか持てません。特に親族同士が遠く離れていれば、会う機会は滅多にないでしょう。一方、葬儀や法要を執り行うことで、希薄になった関係でも深められると言えます。